12'5 警察庁 不祥事防止へ検討委

★ 警察官の不祥事が止まらない。警察庁によると、今年1~3月の懲戒免職者数は既に12人に上るほか、旧態依然とした組織的隠蔽(いんぺい)がいまだに行われていたことも発覚。不祥事根絶どころか、警察組織全体の意識の緩みを危惧する声も出ている。焦燥感を募らせる警察庁は、「警察改革の精神」の徹底に向け、施策の検討に乗り出した。

 ●いまだ組織的隠蔽

 「明らかに時代の流れに逆行している」。警察庁幹部がこう批判するのは、静岡県警の松嶋勝己・前磐田署長=犯人隠避容疑で書類送検、懲戒免職=をめぐる部下の不祥事隠しだ。

 松嶋前署長は平成22~23年、当時の副署長らに指示し、(1)20代巡査の詐欺(2)20代巡査の窃盗(3)40代警部補の盗撮-の各事件を捜査せずに3人を依願退職させ、本部に「一身上の都合」と虚偽の報告をしていた。

 1年足らずに1つの警察署で3件もの不祥事が連続するのも驚きだが、いまだに組織的な不祥事隠しが行われていたことは由々しき事態といえる。

 警察庁幹部はこう言う。「かつては『辞めさせて幕を引く』という形で不祥事を隠すことがよくあった。しかし、平成12年に始まった警察改革以後は不祥事を調査・捜査し、責任の所在を明確にした上で必要な処分を行っており、今回の事案は極めて悪質だ」

 ●職務絡みも目立つ

 札幌・ススキノのSMバーで全裸になっていた北海道警巡査長、「買うのがもったいない」とアダルトDVDを万引した富山県警巡査長、警察手帳を偽造した徳島県警の巡査部長…。

 今年に入ってから、不祥事は枚挙にいとまがないが、深刻なのは職務に絡む不祥事も目立つことだ。

 年末から年始にかけ、警視庁ではオウム真理教元幹部が本部に出頭してきた際に“門前払い”したり、大阪府警でも警察官が飲酒検査でアルコール濃度の数値を水増ししたりした不祥事が発覚した。

 また、長崎県の2女性殺害事件に絡む千葉県警習志野署員の“旅行問題”や、京都府で小学生ら10人が死傷した交通事故に絡む被害者情報の無断提供など不祥事が途切れることはない。

 ●1~3月免職12人

 警察庁によると、23年中の全国警察の懲戒処分者数は前年比18人減の367人(免職45人、停職83人、減給123人、戒告116人)。今年1~3月の免職は既に12人で、このまま推移すると昨年1年間とほぼ同数となり、不祥事に歯止めがかからない状況だ。

 懲戒処分者数は警察改革元年の12年以降、減少傾向だったが、22年に急増後、23年もほぼ同数で高止まっている=表参照。

 警察庁は不祥事の続発を受け、4月下旬に「『警察改革の精神』の徹底等に向けた総合的な施策検討委員会」(委員長=金高雅仁官房長)を設置。各局の筆頭課長ら幹部二十数人で議論し、7月をめどに不祥事根絶に向けた新たな施策を取りまとめるという。

 元警視庁捜査1課長の田宮栄一氏の話「不祥事の根底には、自由度が増した世の中の風潮に警察官も浸り、『少しくらい許される』という気の緩みがあるのではないか。組織は脆弱(ぜいじゃく)化の一途をたどり、まさに危機的な状態だ。根本的な幹部の意識改革や教育制度を見直さない限り、不祥事は止まらないだろう」

     ◇

 ■警察改革 平成11~12年、神奈川県警の覚醒剤使用もみ消し事件や、監禁事件の被害女性が保護された当日に新潟県警の幹部らが興じた「雪見酒問題」など、不祥事が相次いで発覚した。一連の不祥事を受け、懲戒処分の指針制定▽改正警察法公布▽懲戒処分の発表の指針制定-など不祥事根絶に向けた警察改革の枠組みが整えられた。


         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★ 警察庁は12日までに、相次ぐ警察不祥事への対策を議論するため、金高雅仁官房長をトップとする内部の検討委員会を設置した。

 長崎県西海市の2女性殺害事件で被害届の受理を先送りした問題や、静岡県警幹部による部下の不祥事隠蔽などを重視。設置は4月27日付で、今月7日に初会合を開いた。

 委員会は警察庁の幹部で構成。被害届受理の迅速化や監察機能の強化、職員旅行の在り方などを検証し、年内に中間取りまとめを公表する方針。


★不祥事防止に内部検討会=「警察改革の精神」徹底目指す―警察庁

 警察庁は11日までに、不祥事防止に向けた検討委員会(委員長・金高雅仁官房長)を設置した。都道府県警や外部の有識者の意見なども取り入れ、夏ごろをめどに中間取りまとめを行う方針。
 メンバーは刑事、警備、生活安全、交通などの各部門から横断的に幹部を選出。長崎ストーカー事件で被害届の受理が遅れたことや、酒に酔った警察官の不祥事が相次いでいることなどを踏まえ、具体的な防止策を検討する。
 警察官の懲戒処分者数は2000年の警察改革以降、減少傾向にあったが、10年に大幅に増加。11年も高止まりの状態が続いており、同庁幹部は「『国民の立場で活動する警察』を掲げた改革の精神が弛緩(しかん)している」と危機感を募らせている。
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